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東洋楽器製造株式会社のMONTANOギターについて【おじいちゃんのギター外伝~残らぬ軌跡~】

R30511更新 記事を貼り付けました~
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おじいちゃんから受け継いだかのギター「MONTANO」でしたが、調べて分かったことや逆に勘違いしてたことなどを赤裸々に語ってみようと記事にしました。 自分で作ってからに言うのもいけませんが、素人修理シリーズ話より面白いかもしれませんよ(笑)。 それではいきましょうか。

東洋楽器製造株式會社と帝国発明社について

私が一番気になった…というより最もギター本体の出生に関わりそうなメーカーをまず調べました。 この会社はMONTANOブランドではあまり聞かない名前で、他のブログさんやオークションを見てもなかなか出会えないメーカー名です。

ギター紹介はこちらの記事でもしましたが、MONTANOのラベルに記載されていたOEM製作メーカーとして有名どころでは「矢入楽器製作所(時期的にヤイリギターかも?)」・「高峰楽器製作所」が挙がり、その他には「岡本楽器製作所」や「寺田楽器製作所」、それにブランド元の会社である「帝国発明社(名古屋帝国発明社とも)」の記載、何ならメーカー無記名(無記名なのは矢入の可能性あり)も存在するなど様々散々です。そして今回の「東洋楽器製造株式会社(以下、親しみを込めて東楽と呼びます)」。

現在でも寺田楽器製作所さんはギターOEMをされているようですね。 ただ調べた限り、岡本楽器製作所さんと東楽さんは見つからず、特に調べた東楽さんに関してはすでに廃業されているようです(リンク※1)。

それぞれの会社の詳細(おそらく)

東洋楽器製造株式會社※1、※2参照
創業者:池内甚三郎
創業期間:明治39(1906年、一応38年の12月)~大正7年(1918年)
所在:兵庫 事業:楽器製造、販売?
 
帝国発明社※3参照
創業者:近藤吉太郎
 創業期間:明治18年(1885年)~平成22年(2010年)?※4(破産情報からおそらく※5の会社)
所在:名古屋 事業:楽器の輸出入、製造(違う会社と思うが、暮らし・生活サービスその他※5

東楽の成り立ち話には2種類ありまして、ともともと大阪にあった※6池内風琴(オルガン)製造所の池内甚三郎さんが独立し立ち上げた会社という話ともう一つ話があって、池内風琴製造所自体が東楽になったという話です。

もちろん私は当時に生きていた人間ではないですし、何より素人が調べたので曖昧になってしまうのは致し方ないのかもしれませんが、ネット調べれることはあらかた調べたつもりです。

もし興味がある方はリンクをたどってご自身でも調べてみてください。

 

ギターについてもまたいくつか問題が出てきます。

私が調べたサイトでは東楽さんはオルガンメーカーとして名をはせていたということだけで、ギター関係の話は全く出てきませんでした。多角化してギター製造もしていたのかOEM供給だけしていた可能性もあります。ヴァイオリンを製造していたとの記事はあったのでギターもあり得る話ではありますけどね※7。

さらに一番こまったのはそれぞれの時期が合わないことです。

MONTANAブランドが出来たのは昭和3年(1928年)※3なので東楽さんが大正7年(1918年)に廃業していたのなら10年も間があり、製造できるはずがありません。

同名なだけで会社違いなのでしょうか?この会社以外の情報は見つからなかったのですがね…

ただし前回の記事でブランド元の会社といいました「帝国発明社」の創立そのものは明治18年(1885年)なので全く関係性がなかったとは言い切れません。

果たして東楽の約12年間に製造されたのか、それともMONTANOブランドが出来てから以降に引き続いたものがあったのか。何とも言えませんね。

 

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⇧時系列をまとめたものを作ってみました。だいたいこんな感じになると思います。

これを踏まえても戦前に作られたギターとも思えず、さらに言えば鉄線ギターの最盛期は1960年代以降とのことですので理解しがたい時代錯誤がありますが、よく言えばこれもオーパーツなのかも。これが新しい発見なのか、それともただの勘違いなのか分かりません。即ちロマンですね。

たとえそうでなく1960年代に作られたギターであっても大事にするつもりですが、もしも戦前のギターに鉄線ギターがあり、それが残っておじいちゃんが持っていたなら「宝物」として一番執着していた物がギターであったのも頷けますし、それを引き継げたというのであれば私も誇りが持てるというもの。

なんにせよ現在2020年から見れば、短く見積もっても半世紀以上生きてきたギターですのでかなり古いことには違いないですね。

 

ちなみにMONTANOブランドは水野楽器店さんから2010年に復活を遂げているようですよ。

 

勘違いについては次回に続きます!よろしければ下すぐのリンクから見てみてくださいね。

 

To Be Continued

 

おじいちゃんのギターシリーズ第一弾!(外伝より後に公開とは…)

hiboniche.hatenablog.com

 

情報元のサイトやページなど※に該当しますよ

※1Googleブックス「オルガンの文化史」赤井励 89頁あたりから

  https://books.google.co.jp/books?id=HG9xDgAAQBAJ&pg=PA94&lpg=PA94&dq=%E6%B1%A0%E5%86%85%E9%A2%A8%E7%90%B4&source=bl&ots=BNR_S7JhYJ&sig=ACfU3U0Q9T6T1mvZeZX9AlDxOAD0Q0isgg&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwiuuoDSmvzrAhWS7GEKHeMJDLsQ6AEwCXoECAEQAQ#v=onepage&q=%E6%B1%A0%E5%86%85%E9%A2%A8%E7%90%B4&f=false

 

※2国立国会図書館デジタルコレクション「日本全国諸会社役員録明治.41年」365頁

  https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/780120/365

 

※3水野楽器店「オリジナルブランド”MONTANO”」

  http://www.mr-jagar.jp/guiter.html

 

※4破産データバンク「株式会社帝国発明社の破産情報」 

  http://bank-db.com/hasan/209278

 

※5エキテン「株式会社帝国発明社」

  https://www.ekiten.jp/shop_5146916/

 

※6明治大正期楽器商リスト(だいたいサイト3分の1のところ明治38年のところに記載)

  http://charlie-zhang.music.coocan.jp/MOONH/GAKKIL.html

 

※7 「明治期関西ヴァイオリン事情」塩津洋子 (18ページにて記載あり)

  https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10313726_po_doc002_5.pdf?contentNo=1&alternativeNo=

おまけ レファレンス共同データベース(先駆者がおられたようですね)

    https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000284231